自動車をはじめとして、ものづくりの現場でモデルベース開発手法が浸透し、実用に供していると聞く。モデルやモデリングという言葉がBuzzwordとなった今、長い間モデルというものに関わる仕事をしてきた手前、私自身の頭脳(あたま)を整理する意味でも改めて「モデルとは何か」を考えてみたい。
Concise Oxford English Dictionaryを見ると、5つの意味が並んでいる。
- A small model (三次元フィギュアのモデル)
- An example to follow or copy (手本とすべきモデル)
- Fashion or Artist (ファッションモデル)
- Design of product (製品を代表するモデル)
- Simplified description of a system (縮約記述モデル)
モデルは、考え方、立場、文化、あるいは専門分野が異なる人やグループ間でコミュニケーションするために相互理解を手助けすることを目的とする。先ずは互いに違うことを認識したうえで、どうしたらコミュニケーションできるか頭脳を悩ませ、相手の立場に立ち構築するものである。
そこで、私の定義は、「モデルは相互理解のために構築する共通の土台」である。
A社のものづくりの現場でこんな会話がされているのではないかと想像を巡らす。
上司:B社ではMBDを導入し効果を上げている。我が社は遅れているのではないか?すぐに導入を検討するように!
部下:分りました。すぐ検討します。(本当にMBDを理解して指示しているのかな???)
残念ながらA社の上司と部下の間には共通理解のモデルがなく、MBDの前にこの構築から始める必要がありそうである。